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温厳 涼雅

2020年 壺中居個展に寄せて
川 瀬 忍



ここ数年、翠瓷、藍瓷、赫瓷、そして胭瓷と、「色の世界」に嵌り込んでいた。
どこかで!と思いつつも、派手な色の影響なのか、
知らず知らずのうちに、色の誘惑へ、深くのめり込んでいくようだ。
限りない魔の世界である。
抜け出し難いことは知識では解っていたが、
自ら経験した。

実は、昨年の個展(妃子笑)を以て、とりあえずの区切りを付けることにし、
次回の個展は、青磁でと強く心に決めていた。

その中に、今回のコロナ禍が始まった。
加齢と共に、雑務に追われ、仕事場に入る時間が奪われ悩んでいたが、
作陶家にとっては、外出自粛は仕事場に籠もることとなり、
たっぷりと時間を与えられたのだ。

青磁の魅力を求める中で、自然界の造形に誘われ、美しい形を追い求め続けた。
今回、ふと立ち止まる機会を得、

素直な形とは?
自分自身が好きな青とは?

気が付くと、どちらも和様の雰囲気に傾いていた。
中国陶磁に憧れ続けているが、所詮は日本人だったのだ。

素直に進みたいと思っている。




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