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最近、作りたい形にようやく技術が少しずつ追いついてきた気がしています。
新しい形や複雑な形は想像するのは簡単ですが、実際やきもので完成させるには様々な課題に
挑戦と失敗を繰り返し一つずつ超えて行かなければいけません。
今展ではその新たな形の一端をお見せ出来ればと思っています。立体作品は写真だけでは
なかなか伝えきれない魅力があります。
是非実物を見て角度による形の変化や釉の表情などもお楽しみいただければ幸いです。


木野智史   

ごあいさつ

このたび弊社3回目となる木野智史展を開催いたします。
木野智史さんは20代の頃より国内外の公募展に挑戦し、これまで数々の実績と評価を得てこ
られました。これらの経験により国際的な感覚を持つ陶芸作家に成長され、現在は制作拠点
を台湾へと移し活動の場と視野を一層広げておられます。

これまで継続的に発表されている『颪(おろし)』は風の具現化をテーマにした作品であり、
近年は一段と複雑な造形を追究され、表現の深化が見られる内容となりました。また今回、
個展初の発表となる『渓澗(けいかん)』は、渓谷の水流や水面のうねりなど台湾の山紫水明
な自然を前にして刻まれた感動や記憶をもとに表現された作品です。各作品にみられる独創
的な造形は角度を変える毎にそれぞれ違った表情が現れ、その多面性に新鮮な発見と魅力を
おぼえます。いずれも日々研鑽を積み重ね向上した技術やそれに伴う制作へ熱意が感じられ
る作品となりました。
ぜひ会場・壺中居に於いてご高覧いただきたくご案内申し上げます。

そして当展は2020年のコロナ禍に延期となり、2年ぶりに実を結んだ展覧会となります。
多くの実現すべきものが空転する中、木野さんは制作を通し自己と向き合う日々を過ごして
こられました。このたび2年間の想いが結実し、新シリーズをはじめ新作の発表にたどり着
きました。直接的な対話や作品を肌で感じ理解を深めていただく事は、作家にとって次への
大きな道標となる事でしょう。タイトル『実-jitsu-』はそんな様々な想いが込められ名付け
られました。
皆様のご来場を心よりお待ち申し上げます。


ギャラリーこちゅうきょ   

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