鉱物として自然界に存在するものを採掘し、不純物を取り除いて精煉し成形
されたものが、私たちの身の回りに存在する金属という素材です。そうして
作られた表面は金属にとってとても不安定な状態であり、常に錆る宿命のも
と、鉱物=自然物の状態に戻ろうとしています。一見硬く閉ざされたかのよ
うな印象の金属が、その表面に素材自身がもつ時間性や流動性を表出させる。
それは私に自然に対する畏怖の念を思い返させます。自分の意識と素材の意
識(自分の無意識)との境界に形状や景色が立ち現れ、そこから様々な感情
を汲み取り作品にすることで、観る者に素材に対する原始的な感情を想起さ
せるような作品制作を試みています。
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