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主催者よりごあいさつ
昨2018年にご自身2回目の大掛かりな回顧展「川瀬忍 作陶50年の間」展が菊池寛実記念智美術館(東京)で開催され、国内外から大きな反響を呼びました。キャリアの出発点から、最近年の無釉焼き〆による作品群に至るまで、自ずと川瀬先生の「歩んだ道」を語っており、その陶業が鳥瞰出来た良質の展覧会といって言い過ぎではありません。
先回弊社にて開催した「川瀬忍展−机辺掌中−」では、近年来の研究=窯変研究の成果、すなわち、赫瓷、藍瓷、翠瓷、胭瓷、そして基本軸の青磁と5つの技法による作品群でラインナップを構成しました。
うち、胭瓷(えんじ)作品は少数ながらも、その質感と完成度の高さと美しさとが多くのファンを魅了したこと、記憶に新しいものです。
川瀬先生には、その卓越した技量を以てしても胭瓷の難しさを痛感されて、以後孜々として胭瓷を極めるご研究ご工夫に日を重ねられました。
今回2年振りに新作個展をプロデュース出来る光栄に恵まれましたが、川瀬先生による胭瓷のひとつの完成形をご披露出来る、大いに意義のある機会かと確信します。
中国清朝後期に完成された磁器のひとつ、アップルグリーン=蘋果緑(ひんかりょく)を髣髴させる紅と緑の色調がまず美しさの極みで、観る者の眼と心を捉えて離さないことでしょう。
今回は茶碗だけによる構成になりますが、碗形(わんなり)、天目型、平茶碗型による器形は変化に富み、手取りのバランスも申し分なく、個性と品位が融合したラインナップといえます。
特筆すべきは茶溜り(見込み)と高台の完成度の高さといえましょう。釉薬の溶け具合と胎土との相性の良さ、複雑かつ玄妙なる窯変の美しさとが、先生の苦心・努力・研究の賜物となって自ずと放射されているかとみるものです。
先回から確実に進化=深化し、きわめて完成度の高いラインナップとなりました。
テーマを設定し、それを倦むことなく追及して体現される、川瀬先生の最新のご研究=お仕事ぶりの精華を、ぜひ展覧会場でご高覧いただきたく、謹んでご案内を申し上げます。
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2019年11月
ギャラリーこちゅうきょ
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