ご挨拶 川瀬忍先生は青磁作家の第一人者として内外に広くその名声を拡げてこられました。 昨2011年に開催された「川瀬忍の青磁 天青から静かなる青へ」展はまさに陶業 を振り返るにふさわしい素晴らしい内容でした。 川瀬先生は青磁に加え諸々の陶芸技法を独自に研究し研鑽を積まれてこられていま すが、意外にこの事情は広く知られておりません。 「絞胎(こうたい)」すなわち我が国でいわゆる「練り上げ手」とは2種以上の陶土 を重ね合わせて揉み込み偶然に展開する紋様となったものを成形+焼成する特殊な 技法です。この技法は中国唐代に始まりましたがその後日本にも渡来し、「練り込 み志野」や「無名異練上」等と独自の発展をしてきました。 川瀬先生の「練上=絞胎」は原点の中国唐代の作例の研究から出発し、現代の陶芸 技法と作家独特の美意識と造形力を傾注したまさに独自の作風を表現したものとな りました。 永年の研究から生み出された作品群は ・繊細かつ強靭な完成度であり、 ・整合性の難しい絞胎の技法を自家薬篭中のものとされ、 ・紋様を自由自在に展開することに成功した すなわち青磁に肩を並べるクオリティを誇るものと確言出来るものです。 今回は絞胎技法にいちばんふさわしいといえる「坏」「高脚坏」「高坏」「盤」と 4つのアイテムに焦点を絞り、サイズは小さいと云う条、気品に満ちた作品をご制 作していただきました。また小社としてアートフェア東京2012に協賛出店いたし ます。川瀬先生の絞胎の世界を広くご紹介いたしたく、プロローグとして先行展示 をフェアの会場で行い、引き続き壺中居を会場に個展の本幕を開きます。有楽町と 日本橋に川瀬先生の作品をご披露する機会を持つことが出来まして主催者として素 直に悦んでおります。 ぜひ会場にご来駕のうえご高覧いただきますよう謹んでご案内を申し上げます。 |
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